今年は「難民危機最悪の年」となる可能性が… -上半期における衝撃の報告

みなさんこんにちは!

こちらベルリンは現在、20℃くらいのTシャツだとギリギリ寒いくらいの天気が続いていて、夏が来るのか来ないのかはっきりして欲しいという気分で人々は日々生活をしています。

地中海横断における死者数、すでに昨年全体の80%に迫る勢い!

今日は衝撃的な記事を見つけたので、急遽そちらを紹介したいと思います。

国際移住機関(IOM)が今週、先週の「週末レポート」を発表しました。ヨーロッパ各国の難民・移民の数や状況が詳しく書かれているのですが、そこには今年の上半期における難民の地中海横断に関するデータも書かれていました。

 

2014年から2016年までの地中海横断の死者数 -IOM 報告書p.39 より

2014年から2016年までの地中海横断の死者数 -IOM 報告書p.39 より

そこの39ページに書かれているのが、こちらのグラフです。

これは2014年から今年6月末までの、地中海を横断しようとして亡くなった難民・移民の総数を表しています。

先日の記事でも書きましたように、昨年は3,771人もの人々が亡くなり、「記録を取り始めて以来最悪の年」と言われました。

しかしこのグラフの青の棒を見ると分かるように、今年は最初の6ヵ月ですでに2,899人もの人々が亡くなったことが分かります(7月1週目を含めれば2,920人)。

この数はすでに昨年の死者数全体の80%近くにものぼり、2016年は2015年の死者数をさらに超えると予想されています。

 

なぜこれほどの急上昇が?

では、なぜこれほど死者の数が増えてしまったのでしょうか?

その答えは、今年3月に合意に至った「EU-トルコ合意」にあると考えられます。

この合意では主に、

  1.  3月20日以降、トルコからギリシャに到着した難民はトルコへと送り還される。
  2.  難民にはギリシャで難民申請をする権利があるが、申請をしない者はトルコへと送り還される。
  3.  シリア難民を優先して、送り還された難民の数と同じ数だけ、トルコの難民キャンプからヨーロッパ諸国に再配置する。
  4.  トルコは6/30までに、EU諸国へのビザなし渡航が認められる。

が決められました。

しかしこの合意により、ギリシャに渡る予定であった難民がリビアへと移動し、そこからボートでイタリアを目指す、というルートの変更が起きてきています。

イタリアは合意の対象ではありませんからね。送り還される心配がない訳です。

しかし、トルコの沿岸からギリシャの島までは数キロしか離れていないため(よい双眼鏡を使えば対岸の人まで見えます)、だいたい2~3時間で着いてしまいますが、リビアからイタリアは数十キロも離れているため、場合によっては数日もボートで漂流しています。そして使われるのはもちろん長時間の航海には適していない古い漁船やゴムボート、危険度がギリシャ沖とは比べ物にならないのは歴然です。

その結果はこちらのチャートでも分かります↓

各ルートの死亡者数。中央地中海ルートがずば抜けているのが分かる。

2016年上半期における、各ルートの死亡者数。中央地中海ルートがずば抜けているのが分かる。

スペイン沖の西地中海と、ギリシャ沖の東地中海(エーゲ海)での死者の数に比べイタリア沖の中央地中海での死者数が極めて多いのが分かります。

祖国での生活の全てを捨ててきた難民たちの道を閉ざすことは、難民たちを止めることにはなりません。彼らは密航斡旋人を通じ、さらに危険な旅に身を投じるだけです。

この結果は、様々な専門機関ですでに予想されていたことでもあります。

確かに、EU-トルコ合意によってヨーロッパにたどり着く難民の数は激減しました。しかしこの数字を見て、EUの政治家たちは何を考えるのでしょうか?みなさんはどう感じましたか?


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