どうもこんにちは!
ベルリン滞在が2週間を切り、今日は日本に送る20kg以上する段ボールを1km離れた宅配会社まで運びきったばかりのアンドレです。
まだ若いんだという事を再認識できてよかったです。笑
それに加えて今日7/28は、「ジュネーブ難民条約(難民の地位に関する条約)」が採択されて65周年の記念日です!
今回はこのいわゆる難民条約についても批判的に触れてみたいと思います。
難民をカテゴリー化して、その出身地をまとめてみた
久しぶりに難民ニュースまとめの記事以外を執筆するのですが、今回はそもそもシリーズの一つとして、難民というものをその難民となった理由からカテゴリー化して、どこの国出身の難民がどのカテゴリーに入るのか、というのをまとめてみたいと思います。
では、ここからカテゴリー別に
- 戦争・紛争難民
- 政治難民
- 環境難民
- (経済難民)
に分けて紹介していきます。
戦争・紛争難民
この言葉は、「難民」という言葉を想像した時、一番真っ先に思いつくものではないでしょうか。

シリアの首都ダマスクス南部の町で、食料配給を待つ人々。
AFP通信より転載。URL: http://goo.gl/FxZMQr
その名の通り、これは自分の国で戦争や紛争が起こっており、国外に避難しなければならなかった人々を指します。
その最も代表的な例が、現在も泥沼の内戦が続くシリアです。今日までに1100万人が難民や国内避難民となっています。
コートジボワールも、2011年まで内戦が起きており、現在も周辺諸国に多くの難民が暮らしています。
独立後に内戦が勃発し、今も終わる見込みがない南スーダン。
ヨーロッパでも、現在紛争状態となっているウクライナ東部の人々も、ロシアやベラルーシ、ポーランドといった周辺諸国に難民となって暮らしています。
さらに、現在もタリバンとの戦闘が続くアフガニスタンの人々。
左翼ゲリラとの停戦協定がつい先日締結されたコロンビア。
ニュースに載る大きな内戦から武装組織との紛争まで、戦いが、人からその人たちの故郷を奪っています。
今日、難民全体の内、この戦争や紛争を原因とする難民は一番多くの割合を占めています。
政治難民
「政治難民」とは大きなカテゴリーであり、主に人種差別、思想的弾圧、宗教的迫害、政治的迫害により国を追われた人々のことを総じて指します。

警察に連行されるチベット僧 @中国
http://goo.gl/OV3cqV
このような人々は全世界におり、死刑となる恐れがあるイランのキリスト教徒、北朝鮮からの脱北者、数年前までのイラクにおけるクルド人、「世界最悪の独裁国家」と言われるエリトリアからの難民、70~80年代に日本も受け入れていた、いわゆる「インドシナ難民」、第二次世界大戦中のユダヤ人難民などなど、
さらにはアメリカ国家安全保障局の元職員で、その仕事を暴露したことから現在はロシアで亡命生活を送るエドワード・スノーデン氏も政治難民です。
ちなみに2013年のデータによれば、日本からも157人の政治難民がいます!理由が気になる所です・・・・

日本人難民の居住国と人数。
現在はその他にもLGBTIQといった性的マイノリティの難民申請もあります。
背景には、欧米を中心とした国々での性的少数者に対する差別禁止の大きな動きや、現在でも同性愛が犯罪になる(サウジアラビアやイランでは死刑になります)イスラム教国などにおける迫害を恐れ、政治的亡命を求めている事があげられます。
環境難民
この「環境難民」という言葉は、気候変動によって、住んでいた所での生活が困難となり難民となった人々のことを指します。

チャドに逃れたスーダン難民の子どもたち。しかしこの地域も干ばつで住むことは難しい。
URL: http://goo.gl/uazjuZ
環境難民もまた世界中におり、代表的な国は、アジアではサイクロンが直撃したミャンマーの人々や干ばつで不作が続くアフガニスタンの人々。
アメリカ大陸では、ハリケーンが直撃し、周辺諸国や南米の国々に避難しているハイチの人々。
アフリカでは、干ばつにより生活が営めなくなった、チャド、エチオピア、ケニア、ソマリアの人々などが当てはまります。
しかしこの「環境難民」という定義、実は1951年に採択された難民条約では示されていません。
人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するた めに、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者 - 「難民の地位に関する条約」より
難民条約では、主に最初にあげた二つの定義、「戦争・紛争難民」と「政治難民」が定義されているだけで、気候変動を理由に移住を強いられる人を「難民」として認めていないことになります。
この事はつまり、「難民条約」が制定された1950年代には、この環境難民と呼ばれる人々は想定されておらず、21世紀における新たな現象と言う事ができるでしょう。
しかし、環境難民は本当に新しい現象なのでしょうか?
歴史を見れば、4世紀のゲルマン人の大移動を促した東方からの騎馬民族の侵入などは、寒冷化による不作が大きな原因と考えられています。
このように、人々は気候変動によって何度も移動を強いられており、本当は新しい事でもないのに、国境ができたことで「環境難民」を新しい現象と感じてしまっているだけではないでしょうか。
(経済難民)
この経済難民という言葉は、言葉としては存在していますが、本来の難民の定義とはずれていますのでカッコ付けのカテゴリーとしました。
経済難民とは、生活が経済的に困難になったということから、住んでいた土地や国から逃れて難民になった人々のことを言います。
現在ヨーロッパに流れてきている経済難民は、主にバルカン諸国(アルバニア、コソボ、セルビア、マケドニア)出身者(注1)や、マグリブ諸国(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)の出身者が多いと言われています。

2015年にドイツに出された難民申請者の国別ランキング。太字が2015年。その左が前年の数。
URL: http://goo.gl/jG80jw
現在、これらの国々は「安全な第三国」としてドイツでは認定されており、難民として認めてもらうことは困難になり、難民認定率は1%を下回っています。
この戦争や紛争はないが、生活ができないから国を離れるしかない、という理由が難民の定義に当てはまるのか。
環境難民でも見られたように、ここでも1950年代に締結された「難民条約」の穴が見て取れます。
さらに、もし原発事故が起き日本の外に避難しなければならなくなった際、日本人は難民としての権利を得られるのか?このように、現在考えられるシナリオだけでも、難民条約だけでは時代に対応できていないことが分かります。
まとめ
今回は、ひとまとめにして考えられることが多い「難民」について、彼らが移住を強いられている原因を元にカテゴリー化を試み、その例となる主な国をあげてみました。
「難民」と言われる人々でもそこには様々な背景がある、そしてその根拠となる「難民条約」には限界がある、という点をこの記事から知っていただければうれしいです!
では夏バテに気を付けて、お過ごしください!
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