ヨーロッパを目指す難民の過酷な旅

今回は、ヨーロッパを目指す難民の旅がどういったものなのか、過去のニュースを交えつつ紹介します。

難民危機というと、「大量の難民がヨーロッパに流入」といった説明が一般的ですが、その難民たちは実際にどのような道を辿ってきたのでしょうか。

イドメニをはじめとするヨーロッパの難民キャンプでの生活の過酷さは体験記等からも読み取れるように、凄惨なものです。

しかし、そこに辿り着くまでには、陸路を歩いて移動し、また、粗末なボートでエーゲ海ないし地中海を渡る必要があります。

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難民の主なEU流入ルート

EUはその圏内でしか難民申請を受け付けていないために、人々はまず、自力でヨーロッパへとたどり着かなければなりません。

そのために彼らが頼るのは、密航斡旋業者。

法外な料金を難民から毟り取る彼らのビジネスは、人を人とも思わず、ひたすら利益を追求するものです。

私がトルコから10キロと離れていないギリシャのレスボス島でボランティアをしていた時に、島へと辿り着いたシリア難民は、船に乗るために密航斡旋業者に2000ユーロ(約25万円)を支払ったと教えてくれました。

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レスボス島とトルコの位置関係。上の流入ルートマップで、GREECEと書かれてる右にある小さな黄色い点がレスボス島。

彼の乗っていた小さなゴムボートには、あまりに多くの人が乗っていたために座るスペースはなく、ほとんどの人が立っていました。

また、途中でエンジンが壊れてしまったために、ボートに入って来る水をずぶ濡れになって必死で掻き出しながら、長時間海を彷徨っていたと言います。その日の気温は10度を下回り、風のとても強い日でした。

辿り着いたヨーロッパ

レスボス島に辿り着いたボート(管理人撮影のため画像が荒いです。すいません。)

2015年の4月19日には、難民を大量に乗せた船が北アフリカのリビア沖で沈没し、28名が救助されるも700名以上が死亡という事件がありました。その一週間前には同様の事故で約400名が溺れ死んでいます。

またギリシャのレスボス島では、この島を目指す途中で亡くなってしまった難民の埋葬場所が確保できないという事態も発生しています。レスボス島周辺では2016年に入ってからもこういった事件は収まらず、2月8日には、島を目指していたボートが沈没し、11名の子どもを含む24名が死亡しました。

UNHCR(難民高等弁務官事務所)によるビデオレポート。危険な航海を終えた人々の声が聴けます。

 

陸路も安全ではありません。2015年8月27日、オーストリアの高速道路に放置されていた冷蔵車から4名の子どもを含む、合計71名の死体が発見されました。その死者には2歳に満たない少女と、8歳の少年もいました。

 

ただでさえ粗末なボートに積載限界を遥かに超える人数を乗せたら沈没する恐れがあることは明白です。

密封状態の冷蔵車に大量の人間をすし詰めにしたら、窒息死するリスクがあることは目に見えています。

それでも利益追求のために、一度に大量の人を送ることを優先するのが密航斡旋業者なのです。

 

2016年に入ってから今日までで、既に1361名の死者が確認されています。

過去15年間でヨーロッパを目指す中で死亡した難民は32040名に上ります。

ただ安全な場所で暮らしたいと願う彼、彼女らの旅は、生命の危険で満ちているのです。

 

当然EUは、密航斡旋業者の取締り強化や救助作戦、難民にヨーロッパを目指さないように呼び掛けるなど様々な手を尽くしています。

ギリシャに辿り着いた難民をトルコへ送り返すという、EUとトルコ間でなされた難民対策合意は、トルコからエーゲ海を経由してのギリシャへの難民の流入を食い止めるためのものでしたが、その後はイタリアを経由するルートの利用が増えています。

“ONE DOOR SHUTS, ANOTHER OPENS”(一つ扉が閉じられれば、他の扉が開くだけ)

The Overseas Development Insitute (ODI)の研究者は、流入ルートを封鎖ことは難民の流入を阻止することにはならないと主張します。

ヨーロッパへと向かう難民の人々がいる限り、密航斡旋業者を取り締まることや、流入ルートを封鎖することは根本的な解決にはならないのです。

私たちがこの問題を解決するためにすべきこと、出来ることは何なのでしょうか。

忘れられない悪夢

難民キャンプの子どもが描いた絵

 

「15 Years Fortress Europa」では、過去15年の死亡事件の詳細や分布を視覚的に見ることが出来ます。

UNHCRの「Refugees/Migrants Emergency Response – Mediterranean」ではギリシャ、イタリアへの地中海からの難民の流入数に関する様々なグラフやマップを見ることが出来ます。このサイトは毎日更新されています。

また、ニュースのリンクにもありますが、WSJ日本版国連大学ウェブマガジン Our Worldロイター等をはじめとして、日本語のメディアでも難民問題に関して多くの情報を得ることが出来ます。

今後も、過去の出来事や参考になるWEBサイトをこちらのBlogカテゴリにて、また、最新のニュースはNewsカテゴリにて紹介していきます。

時々訪れて、是非皆さんが難民問題について考える際に役立てて下さい。

最後まで読んで下さってありがとうございます。コメントやシェアをしていただけるととても嬉しいです。

今回紹介した合意や研究等については、また次回以降の投稿で詳しく紹介させていただきます。


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