そもそも難民と移民の違いってなに

どうも、テストとプレゼンを終え、今学期残るはエッセイのみのユキです。

ベルリンの天気は相変わらず不安定で、体調を崩してしまいました。。

エッセイのために色々と文献を読み漁っているところなのですが、次から次へと読みたい論文や記事が出てきてしまい、なかなか核心のテーマに集中できずに困っています。笑

さて、今回は疑問に思っている人が多いけれど、いまさら聞けないことについて取り上げる『そもそもシリーズ』の続編です。

難民問題の基本のキ、「難民」という言葉について解説します!

~目次~

  1. 「移民」と「難民」って何が違うの?
  2. 「移民」と「難民」で扱いは違うの?
  3. まとめ

 

それではユルユルといきましょう~

1.「移民」と「難民」って何が違うの?

最近耳にするようになった「難民」という言葉、「移民」とは何が違うのでしょうか。

なんとな~く違うということは認識していても、具体的にどのように違うのか、はっきりと知っている人はほとんどいないかと思います。

国から国へと移動する人々という点では同じですが、この二者間には、実はとても大きな違いがあります。


簡単な解説ビデオ(英語)。お時間のない方はこちらをどうぞ!

解説は下をご覧ください。

「難民」 (refugee)

「難民」は、1951年にジュネーヴで結ばれた「難民の地位に関する条約」で次のように定義されています。

「人種、宗教、国籍もしくは特定の社会的集団の構成員であることまたは政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するた めに、国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けられない者またはそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者」

…ちょっと難しいなぁ。

凄くかいつまんで言うと、

『戦乱や迫害を逃れて自国から脱出した人』

です。

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1951年の難民条約の様子

ちなみにこの難民条約、148ヵ国が批准しています。(もちろん日本も!)

また、Oxford dictionariesでrefugeeの意味を調べてみると、次のような意味であるとされています。

A person who has been forced to leave their country in order to escape war, persecution, or natural disaster. (戦争、迫害あるいは自然災害から逃れるために、母国を離れることを余儀なくされた人。)

要するに、「難民」とは、戦争迫害によって、自らの意思とは関係なく(forced)国外へ逃れる必要に迫られた人のことなのです。

実際に、私が難民キャンプであった中には、「出来ることなら母国にとどまりたかった」と言う人が多くいました。

「移民」 (migrant)

実は、まだ国際的に合意された「移民」の定義は存在しません。

そんな中、最も引用されている定義は、1997年の国連事務総長報告書に記載されたもの。それによると「移民」は、

「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)」

と定義されています。

この定義に従うと、ドイツに留学している僕も移民ということになります。ビックリ。

また、「移民」に「難民」も含まれるという見方もあります。

「難民」は「移民」の部分集合ということですね。(中学数学)

英語ではどうでしょうか。

Oxford dictionariesによると、migrantの意味は以下の通り。

A person who moves from one place to another in order to find work or better living conditions. (仕事やより良い生活環境を求めてある場所から他の場所へと移動する人。)

要するに、「移民」とは、通常の居住地以外の国へ主に経済的理由で移動し居住する人のことなのです。

移民は、どうしても移動しなければならない理由は無いものの、自分の意思で移動するという点で、難民とは全く異なることが分かります。

2.「移民」と「難民」で扱いは違うの?

難民危機が騒がれる今日この頃。

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ベルリンで頻繁に目にする「難民歓迎」のステッカー

多くの「難民」と「移民」が中東やアフリカからヨーロッパへ流入しています。

当然、受け入れる国々は「難民」と「移民」で異なった対応をしています。

その対応はどのように違うのでしょうか。

「難民」

難民に対しては、上述の難民の地位に関する条約を初めとする難民条約によって、受入国には、保護を与える責任が生じます。

特に保障されている難民条約の取り決めとして、以下の二つがあげられます。

第31条:庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない。

第33条:難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない。(ノン・ルフールマン原則)

難民は国際社会における保護の対象です。

そのため、難民の保護を保障し、生命の安全を確保するための大切な決まりである難民条約を守る責任が、受入国にはあるのです。

「移民」

移民に対しては、受入国は自国の法律に基づいて自由に処遇することができます。

経済的理由を動機として移動する移民は、保護の対象ではなく、そのため受入国はその対応を自ら決定します。

世界の国々の中には、アメリカやカナダ、ブラジル等のように、積極的に移民を受け入れる政策をとることで発展してきた国々があります。

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現地の政策に振り回された日系移民も。

またその一方で、日本のように、移民があまり増えないように、定住や労働権の条件を厳しいままにするなどの政策をとって移民の流入を抑えてきた国もあります。

これはどちらが良い悪いといった類の話ではなく、単純に経済や人口政策の方向性や、地理的要因などによって国ごとに異なるというだけの話です。

3.まとめ

「難民」と「移民」の違い、お分かりいただけましたでしょうか?

定義 受入国の対処
「難民」 戦争迫害によって、国外へ逃れる必要に迫られた 難民条約に従い、保護する責任が生じる
「移民」 通常の居住地以外の国へ主に経済的理由で移動し、居住する人 自国の法律に基づいて自由に処遇することができる

かなり簡略化した表ではありますが、こうしてみてみるとあまり難しくはないと思います。

こうして「難民」と「移民」の違いを知れば、「難民はタカリ」「難民は就労目的」といった認識は誤解であることがわかるかと思います。

難民は人権を迫害された、あるいはされる恐れのある人であり、国際的な保護が保障されているのです。

 

難民危機では、各国で難民認定率ほぼ100パーセントのシリア人を初めとする、「難民」だけではなく、実際には移民である人々も多くヨーロッパを目指していると言われています。(ちなみに、日本でのシリア人の難民認定は60人以上の申請者に対してたったの3人。お話になりません。)

また、「難民」として認定される可能性が低い出身国の人々が意図的に身分証明書を捨ててヨーロッパ入りすることもあります。

このことが混乱や難民に対する誤解を助長していることは否めません。

しかし、難民認定率が低い国でも「難民」になる要件を満たす人々はいるため、安易にどこどこの国からは受け入れない、ということは許されません。

ここが難民危機のもっとも難しい点のひとつであり、ポピュリズムを勢いづかせる最大の要因でしょう。

 

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【参考資料】
難民条約について – UNHCR
移住と開発 – IOM
UNHCR viewpoint: ‘Refugee’ or ‘migrant’ – Which is right?

【もっと知りたい】
When to use the M-word – IRIN
Refugee versus migrant: time for a new label? – IRIN

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