こんにちは!メンバーのアンドレです。
現在夏休みを利用して、ハンガリーの首都ブダペストの友だちの家に遊びに来ています。
街を観光がてら、昨年、難民問題を象徴していた、ブタペスト東駅の様子を見てきました。

以前のブダペスト東駅 その1
URL: https://goo.gl/EV7kML

以前のブダペスト東駅 その2
URL: http://goo.gl/gM6al8
昨年のこの頃は、セルビアから入った難民がオーストリア行きの電車に乗るために、上の写真のように駅の前が難民で溢れかえっていました。現在、そこの場所はこのようになっていました・・・・

7月30日のブダペスト東駅 その1

7月30日のブダペスト東駅 その2

7月30日のブダペスト東駅 その3
スッキリしちゃってますね。警察が強制排除したので当たり前でしょうが。難民の姿は1人もなく、以前の写真とは別世界のように感じました。
泊まらせてもらっているハンガリー人の友だちの話では、難民はもう自由に歩き回ることはできず、見つかれば難民収容施設に入れられるため、いても絶対に表には出てこないそうです。
だからアンドレもパスポートをちゃんと持ち歩いてね(笑)、とも言われました。。(ちなみに僕、イドメニの難民キャンプではよくアフガン人に間違えられてたので、ちょっと笑いごとでもないんですよね。汗)
難民ニュースまとめ
では本題。
先々週はドイツで難民関連の事件が3件発生し、1人が死亡しました。
そのせいか、小さな事件や爆発が起きるだけでも、すぐにテロじゃないのかとドイツのSNS上では騒ぐようになり、国全体がピリピリしているように今は感じます。
他にはどんな話題があったのでしょうか?
7/25 (月)
昨晩、ドイツ南部の町、アンツバッハで、シリア人の難民申請者が自爆。犯人は死亡し12人が負傷した。犯人は難民申請が昨年却下されブルガリアへ送還される予定で、自殺を図り精神病院に通院していた経験もあった。動機はいまだ不明。https://t.co/do3sipgFlt
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 25, 2016
7/26 (火)
#セルビア の首都ベオグラードにいる #難民 や #移民 約300人が、隣国 #ハンガリー が国境を閉じた事に抗議するため200km先の国境に向け移動中。セルビア側の #難民キャンプ では水道も電気もない劣悪な環境で難民が暮らす。https://t.co/k1Et8Ooa8Q
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 26, 2016
7/27 (水)
#トルコ から #ギリシャ にボートで来る #難民 の数が急増している。7/15のクーデタ未遂があってから12日間で、500人以上が #レスボス島 に到着した。トルコ軍内部の混乱から、沿岸警備に人手が不足している事が理由とみられる。https://t.co/oL6FaGaILm
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 26, 2016
7/28 (木)
【日本人難民!?】
UN Data(国連データ・ポータル)によれば、2013年、世界には157人の #日本人 #難民 がいる模様。
理由が気になる所・・・ pic.twitter.com/ItYzGTeghX— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 28, 2016
7/29 (金)
#ドイツ のメルケル首相は会見で、「今後もドイツの積極的な #難民 受入体制を維持していく」と発表。一連の襲撃事件を批判するとともに、自身の #wirschaffendas (私たちはやり遂げられる)の姿勢を崩さないと主張した形。https://t.co/yLEBi7z6er
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 29, 2016
7/30 (土)
#アフリカ から #リビア を経由してヨーロッパへと渡る #難民 には、貧困に喘ぐ祖国から逃げるという事に加え、経由国であるリビアの刑務所で、拷問や強姦に晒されているため早く脱出したいという動機も存在する。#国境なき医師団 が報告。https://t.co/YQLp24nqDh
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 30, 2016
難民ニュース、ピックアップ記事
今回は、金曜に取り上げた記事より、メルケル首相がこれからのドイツの難民政策をどのように引っ張っていくのかを会見で述べたガーディアン紙の記事をピックアップしたいと思います。
難民関連の事件が立て続けに発生したことから、与党CSU(キリスト教社会同盟)とメルケル首相も所属しているCDU(キリスト教民主同盟)の一部から、難民政策の転換を迫る声がまた上がり始めています。
しかし金曜日には、メルケル首相が夏の定例会見の場で、昨年の同じ会見の場で発した、”Wir schaffen das” (私たちはやり遂げられる)という言葉をまた繰り返し用い、ドイツの積極的な難民受入政策を崩すことはない、と述べました。
会見で首相はまず、「もし私たちが、(難民たちへの)人道的な対応を拒否していたとしたら、私たちは地域性やオープンさ、助けを求める人を助けるという心構えを失い、さらに悪い結果へと繋がったであろう。…簡単ではない。しかし私たちはグローバル化が進む世界における歴史的な課題に対し、すでに多くを達成した。達成できたのだから、私たちはやり遂げることができる。ドイツは強い国だ。」と述べました。
加えて、今までの難民政策を続けながら、すでに100万人以上いる難民に対して、国民のテロといった治安に対する不安への具体的な対策としては、
- 警察の増強
- 軍隊の治安維持への参加
- 武器所持に対する法律の厳格化
といったことを挙げました。
しかし、1の警察力の増強は、警察の育成から始めなければならず、短期的に効果を発揮できるものではありません。
2のドイツ連邦軍の治安維持への参加、という点は、姉妹政党のCSUもバイエルン州での通り魔事件(注1)の後で強く求めていますが、法律の適応が難しく、憲法の条項を改正しなければならなくなる可能性もある上、左派党を中心とした野党からの反発も強いのが現状です。
3の武器所持に関する法律の厳格化も、すでに厳しい銃器規制の法律があるドイツで、さらなる効果は期待できないと見られています。
今回ミュンヘンで起きた通り魔事件の犯人も銃は違法サイトで購入したものであったため、そのようなサイトの監視に加え、1人称視点でのシューティングゲームも規制も考えるべきとの専門家の意見もあります。
これらから分かるように、与党の案では実現性も難しく、さらに効果も期待できるかさえも分かっていません。
右派の議員からは、難民施設の監視の強化(アンツバッハで自爆したシリア難民は、難民施設にある自分の部屋で爆弾を作成していたことから)をするべきだという意見もあります。
しかし現状で一番即効性があると考えられていることが、施設にいる難民たちがお互いのことを気に掛け合い、注意しあえることができる環境作りかと思います。
それを可能とするには、難民たちがドイツ社会に希望を見出し、親しみを覚えてもらう必要があります。
そのためにも、難民たちのドイツ社会への統合を早く進められるように政府は予算を組み、イニシアチブを取ることが重要ではないでしょうか。
今回は、ドイツが親難民政策へと舵を切って1年、「難民によるテロ」という新たな次元に入ったことを区切りと見て、これからのドイツの難民政策がどう変わっていくのかという事を、メルケル首相の会見から考えてみました。
今日は以上です!次回もお楽しみに~!
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