みなさんこんにちは!
毎週末、「難民ニュースまとめ」を担当しているメンバーのアンドレです!
先日サッカーのヨーロッパ選手権で、ドイツが開催国フランスに0-2で敗れ、いまだにショックを引きずっています….
難民ニュースまとめ
それでは気持ちを切り替えて。先週のニュースを振り返っていきたいと思います!
7/4 (月)
【難民たちが出会う外国語:ようこそ】NY Times紙がカナダの難民政策を紹介。支援者と難民がカナダで出会うまでのストーリーや、お互いの苦労が詳細に書かれている。本文を読まなくとも、掲載されている美しい写真だけでも見てもらいたい。https://t.co/TR0fIHAA0x
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 3, 2016
7/5 (火)
カナダの「ゲイ・プライド・パレード」に、トゥルード首相が参加した事はニュースになったが、その横では自身もゲイのシリア難民、Basselさんも参加していた。パレードに参加する事は彼の夢であり、カナダの親難民政策へも首相に感謝を伝えた。https://t.co/sziXdj47OD
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 4, 2016
7/6 (水)
2016年最初の6ヵ月で、すでに2900人もの難民がヨーロッパへボートで渡る際に亡くなった。これは昨年の死者数全体(3771人)の77%もの死者が今年の上半期で記録された事になり、今年は「難民危機最悪の年」となる懸念がある。https://t.co/Bt609Ycagu
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 6, 2016
7/7 (木)
ハンガリーのオルバン首相が、16万人の難民の再配置を決定したEU決議の是非を国民に問うため、10/2に国民投票を行うと発表。昨年9月にEU内務相会議で通ったこの決議ではハンガリーの他に、チェコ、スロバキア、ルーマニアが反対していた。https://t.co/Z6Qki2pqBt
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 6, 2016
7/8 (金)
【美味しい食べ物は人々の心へ繋がる】#フランス の会社が、#パリ で #難民 を雇い、自分たちの国の料理を作ってもらい販売するという事を始めた。難民達は収入を得られ、パリの人たちには難民の事を知ってもらえるwin-winなアイデア。https://t.co/juCWny0Ukz
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 8, 2016
7/9 (土)
#ギリシャ の #キオス島 には、#ボランティア が開いた、#難民 の #子ども たち150人が通う学校がある。先生もほとんどが難民で、#シリア、#イラク、#アフガニスタン でもともと先生として働いていた。そんな彼らの12枚の写真。https://t.co/76vd4FxJ2y
— 和の手を世界に – JFR (@wanotewosekaini) July 8, 2016
難民ニュース、ピックアップ記事
難民関連のニュースを書いているといつもネガティブなニュースばかりで、書いてるこっちも気が沈んでくるので、先週はがんばってポジティブな記事を探しました!…(の割にネガティブな記事が混じってるのはご愛顧)
先週、最初の二日間はカナダについての記事を掲載したので、今回のピックアップ記事もカナダに関連した月曜日の、“Refugees Encounter a foreign word: Welcome (難民たちが出会う外国語:ようこそ)”というニューヨークタイムズ紙の記事にしたいと思います。
現在最も親難民な国の一つ、カナダ。この記事では、シリアからの難民たち、そして彼らを受け入れたカナダの家族の相互の視点が、カナダの難民政策の紹介を挟みつつ書かれています。
彼らの出会いと苦労、そして難民たちがカナダで新しい「ホーム」を見つける様子が、事細かに書かれた大作と言えます。(正直全部読むのすごく大変でした。笑)
カナダの難民政策の特徴

芸術家のSusan StewartとEman Mohammad
カナダ政府は、世界でも類を見ない柔軟な難民受入プログラムを実施しています。
その内容はズバリ、カナダ人個人が難民受入の資格を持つ、というものです。
どういう事かというと、上の写真の左に写るSusan Stewartさんが、個人の資格でサポーターとして登録し、政府が受け入れた難民を受け入れます。その後、地域やコミュニティのサポートグループと協力し、難民の家族に家を与え、財政面や社会面での援助を1年間集中的に行い、彼らのカナダでの自立を助けるといったものです。
カナダの難民政策の背景にあるもの
昨年9月、衝撃的な写真が世界を回ったのをみなさん覚えていますか?

死亡したAlan Kurdi君。トルコの海岸に流れ着いた彼の遺体の写真は、「EUの難民政策失敗」の象徴となった。
URL: http://www.macleans.ca/wp-content/uploads/2015/09/MAC37_KURDISH_BOY_POST.jpg
Alan Kurdi君、3歳。シリア難民であった彼は、両親と兄の4人で欧州を目指しましたが、ギリシャを目指した船が高波で転覆。父親以外の全員が死亡し、Alan君の遺体がトルコの海岸に打ち上げられました。(詳細はこちらのWSJ紙の記事を参照ください)
そのAlan君の叔母さんがカナダに住んでいたということがあり、その後カナダの世論は親難民へと傾き、かねてから難民受入に積極的であった、自由党のJustin Trudeua 現首相の誕生へとも繋がりました。
“I can’t provide refugees fast enough for all the Canadians who want to sponsor them”(どんなに早く難民を受け入れても、難民を支援したいという人々が多すぎて、十分に応えることが出来ません。)
このカナダの移民担当大臣、John McCallumの言葉が、現在のカナダの難民政策の全てを語っているといっても過言ではないでしょう。
シリア難民とサポートチームの出会い

サポートチームのAriaana Eva Soto-Mak(左)とPaige Escoffery-Stewart(中央)。そしてMohammadさんの娘たち、Batoul(9歳)とBayan(10歳)。
シリアで商店を営んでいたAbdullah Mohammadさんと、奥さんでシリアでは看護師をしていたEmanさんは、2人の娘たちとともにカナダで難民認定を受け、ヨルダンの難民キャンプからカナダへとやって来ました。
トロントの空港のホテルで2泊した後、突然フロントから電話で呼ばれ、下りていくとそこで、「ようこそ」とアラビア語のプラカードを上下逆に持っているMcLorgさんたちサポートグループの人たちに出会います。
そこでサポーターシステムの説明を受けたMohammadさん家族は、これから1年間、
- 自分たちのために家が用意されていること
- 食事も服もあること
- 近くに学校もモスクもあること
- 英語のレッスンを家族皆が受けられ
- 子どもたちは学校へ通えること
- 両親は別に職業訓練を受けられること
さらにそれ以外に3万ドル(約300万円)もの資金を用意してくれたことを知ります。
3年にも及ぶヨルダンでの生活では、「ようこそ」という言葉など聞いたこともなく、「いったい見返りに何を要求されるのだろう」という疑念すらあったと、Abdullahさんは述べています。
今のストーリーは、最初の彼らの出会いを要約したものです。
その他のストーリーを読んでいただければ分かりますが、もちろん、女性の労働観の文化の違いによる衝突、お金の使い方、言語習得の難しさ、サポートグループの中での意見の不一致など、彼らがその後対峙する問題点を挙げたら挙げきれません。
しかし、それらをお互い協力し、歩み寄りながら解決していく姿。字を読んでいるだけにも関わらず、感じる事のできる人間が持つ暖かさ、そこに難民問題解決の糸口だけではなく、世界から争いをなくすヒントがあるように僕は思いました。
最後に

MouhamadとWissam Ahmed夫妻と生まれたばかりの娘、Julia。そして彼らのサポーターを務めるLiz Stark。
今回はカナダについてポジティブな事を書いてきましたが、前政権の保守党からは、「難民を受け入れ過ぎだ」との批判があったり、ヨーロッパの反ユーロ・反移民の団体がカナダにまで勢力を伸ばしたり、シリア難民をターゲットにしたいわゆる「ヘイトクライム」も、実際にカナダでも起きています。
しかし今回ピックアップした記事は、それらとも戦う人々の力強さ、我慢強さに加えて、「実際に難民を受け入れるってどういうこと?」の一端を見せてくれています。
この記事では他にも、Ahmed夫妻とサポーターのLizさんが経験した出産時のエピソードなど、たくさんのストーリーが詳細に書かれています。
掲載した写真のように、難民たちと彼らのサポーターたちの美しい写真もたくさん載っています。
最後に、僕がこの記事で一番惹かれたMouhamad Ahmedさんの言葉を紹介して、終わりたいと思います。
“When I came here, I saw men just doing everything that women do in Syria,” he said. “And I thought, yeah, of course, I will do the same.”(私がカナダに来てから、シリアでは女性がするようなことを、男性がやっているのを見ました。そして思ったのは、「よっしゃ、分かったよ、俺も同じことをやってやろうじゃねーか」ということでした。)
このようにして、難民とホスト国、お互いの文化の理解は進み、難民たちは新しい「ホーム」を見つけていくんですね。
全てのストーリーを紹介ができず残念ですが、他のストーリーも一読の価値は必ずあるので、みなさん時間がある時にぜひのぞいてみてください!
今回は以上です!よい日曜日をお過ごしください!
以下が、使用した写真のURLです。
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2枚目: https://cdn1.nyt.com/images/2016/06/13/us/12canadasponsors-slidesho-slide-OXW8/12canadasponsors-slidesho-slide-OXW8-articleLarge-v2.jpg
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