フランスが閉鎖を検討中: カレーの難民キャンプってそもそも何?- 難民ニュースまとめ vol.19 (10/10-10/16)

こんにちは!メンバーのアンドレです。

今日、僕はかねてよりこのサイトでもちらほら宣伝していた第11回難民映画祭に行ってきました!

第11回難民映画祭 東京会場 @スパイラルホール

第11回難民映画祭 東京会場 @スパイラルホール

観賞した映画は、「国境に生きる ~難民キャンプの小さな監督たち」と、「セバスチャン・サルガド/地球のラブレター」の2本です。

両方とも違う視点から心をえぐってくる映画で、終わった後はしばらく立ち上がることができませんでした。

いずれ、あらすじや感想を紹介できたらいいなーと思います。

では本題。今週の難民ニュースまとめです!!

 

難民ニュースまとめ

10/10 (月)

10/11 (火)

10/12 (水)

10/13 (木)

10/14 (金)

10/15 (土)

 

難民ニュース、ピックアップ記事

今週は、「フランスとイギリスが交渉を行い、カレーの難民キャンプにいる未成年の難民約300人を、イギリスが受入の検討をしている」というガーディアン紙の記事(最近ここのピックアップ率高めです)をピックアップします!

カレーの難民キャンプってニュースでたまに聞くけど、そもそも何なの?あと何で閉鎖されることになったの?

今回はこの2点を解説したいと思います!

 

イギリスを目指す難民たちの最終経由地、「カレーのジャングル」

カレーの難民キャンプは、フランス北部の港町、カレー(Calais)に存在します。(つまりカレーライスのカレーではありません。笑)

カレーの上空からの地図。赤く囲った所に難民キャンプがあり、青で囲った所がユーロトンネルの入り口 ©Google

カレーの上空からの地図。赤く囲った所に難民キャンプがあり、青で囲った所がユーロトンネルの入り口 ©Google

なぜ難民たちがここの町に集まるのかと言うと、一言で言えば、フランスからイギリスへの入国を狙っているためです。

難民たちがイギリスを目指す目的には、家族がイギリスにいること、さらに後で詳しく述べますが、英語で生活ができるとの理由がある、と考えられています。

イギリスは欧州連合には加盟していますが(もうすぐ脱退しますが。笑)、連合内における「移動の自由の原則」を保障する「シェンゲン協定」を例外的に批准していないため、国境を越えるには国境審査が必要となります。

しかし、イギリスは日本と同じ島国、目の前に広がるは警備の厳しいドーバー海峡。

そこで難民たちは、イギリスにユーロトンネルを通って入国しようとする渋滞待ちのトラックの荷台車のトランクへの潜り込み、または列車に飛び乗りイギリスへの不法入国を試み、イギリスに入国したらそこで難民申請をします。

そのため、上の地図で赤く囲った所にキャンプを勝手に作り、生活しています。

そしてこのキャンプは、しっかりとオーガナイズされていない事から、一般に「カレーのジャングル」とも言われています。

上空から見た「カレーのジャングル」 ©Independent

上空から見た「カレーのジャングル」 ©Independent

このキャンプ、昨年から注目されるようになりましたが、実は1999年頃から存在しています。

「国境なき医師団」が今年5月に行った調査によれば、

  1. キャンプには約6,000人が暮らしており、その10人に1人が未成年
  2. 95%が男性で、平均年齢は25歳
  3. 出身国は主に、約3分の1がスーダン人、その後にアフガン人イラク人シリア人と続きます。
  4. 約半分が中等教育以上(日本で言えば高卒以上)の学歴がある

といった事が分かりました。

3番の出身国においてスーダン人が多い理由には、スーダンの公用語に英語が入っていることが関係しており、自分の言語で生活できるイギリスへの渡航を目指しているから、と言えるでしょう。約半分が故郷においてしっかりと教育を受けていることから、英語話者も多いと思われます。

しかし「キャンプで暴力行為にあったことはあるか」という質問では、4人に1人が「キャンプで暴力行為にあった」と回答しており、キャンプ内の治安は良くないことが分かります。

実際僕も、イドメニのキャンプで働いていた時にカレーのキャンプでも食料配給を行っていたイギリス人と知り合ったのですが、彼曰く、カレーのキャンプは若者の数がかなり多く、血気盛んなため喧嘩もしょっちゅうあった、と言っていました。

先ほど、難民たちはイギリスを目指すために「トラックの荷台車のトランクへの潜り込み、または列車に飛び乗る」と書きましたが、そのために事故に巻き込まれ死亡するケースが多いのも、このカレーキャンプの特徴です。

Calais Migrant Solidarity という2009年からカレーで活動している民間NGOの調査によれば、2014年から今年の7月までに50件の死亡事故が起きています。

難民たちの侵入を防ぐため、フランス当局は道路沿いや線路沿いにフェンスを建てましたが、難民たちはそれを切ってでも侵入するため、大きな効果は得られませんでした。

 

カレーの難民キャンプ、閉鎖される?

そんなカレーの難民キャンプですが、9月の終わり頃、フランスのオランド大統領が「今年末までに閉鎖する」と発表しました。(この情報は以前、当サイトのTwitterでシェアしていました)

フランスはカレーから難民たちを排除し、フランス各地にある受入施設に移す事を計画しています。

そしてこの撤去作業は「例外的な状況下における例外的な作業となるであろう」と意味深な含みを持たせた言い方をしました。

恐らくこのように発言した背景には、2001年と2002年にも、サルコジ前フランス大統領が内務大臣を務めていた際、カレーやその周辺の町にあるキャンプの撤去を試み、実際に一部強制排除をしており、今回もあの時のように強制排除も辞さないという意味とも読み取ることができます。

そしてこれは、現在支持率が下がっているオランド大統領が、2017年の大統領選挙でライバルになるサルコジ氏を意識して決定した、いわゆる選挙戦略だとも信じられています。

ただオランド大統領は同時に、「イギリスも多少の責務を果たすべきだ」と述べており、今回の記事ともなった未成年難民約300人のイギリス側の受入は、このオランド大統領の発言にイギリスが応えた形、と言えるでしょう。

しかし、先ほどの「国境なき医師団」の調査では、82%の難民がイギリス行を望んでおり、すんなりキャンプの撤去が進むかは不透明です。

 

カレー難民キャンプの現状、お分かりいただけましたでしょうか?

今日は以上です!

今回の記事はその他に以下の記事を参照しています。時間のある方は併せて読んでみてください!

Calais crisis: First ever quantitative survey in the jungle reveals thousands of refugees still trying to reach the UK - Independent

Why is there a crisis in Calais? - BBC News

 


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