ハンガリーの「難民国民投票」を徹底解説!!- 難民ニュースまとめ vol.18 (10/3-10/8)

どうも~メンバーのアンドレです!

先日、来年から現在の潘基文 国連事務総長のポジションを継ぐ、次期国連事務総長が決定しましたね!

選ばれたのは、アントニオ・グテーレス氏。

次期国連事務総長に選ばれた、アントニオ・グテーレス氏。 ©AP

次期国連事務総長に選ばれた、アントニオ・グテーレス氏。 ©AP

安全保障理事会の常任・非常任理事国15ヵ国が全会一致で決定する、という珍しい状況で選ばれた彼は、元ポルトガル首相で、2005年から昨年、2015年末までUNHCRのトップ、国連難民高等弁務官を務めていた人物です。

国連事務総長になった暁には、第二次世界大戦以降最悪の難民危機を克服するため、「最も弱い立場の人たちの代弁者になる」と言っていたグテーレス氏。これからの活躍に期待したいですね!

参考:「難民には保護される権利がある」- アントニオ・グテーレス氏へのTEDインタビュー

 

難民ニュースまとめ

10/3 (月)

10/4 (火)

10/5 (水)

10/6 (木)

10/7 (金)

10/8 (土)

 

難民ニュース、ピックアップ記事

今回は、先週の初めにあった「EU内での難民の再配置を問う国民投票がハンガリーで行われた」という、ガーディアン紙の記事をピックアップしたいと思います。

国民投票の結果はどうだったのでしょうか?そもそも、どうしてこのような国民投票が行われたのでしょうか?

 

不成立でも勝利宣言(!?)ハンガリー国民投票の中身と結果

10月2日ハンガリーで、「あなたはEUが、国民国家の決定機関の許可なしに、ハンガリー国民でない者のハンガリーへの配置を決定することを許可しますか」という質問の国民投票が行われました。

いったい何じゃこの分かりにくい質問は?と思う方いるんではないんでしょうか?

つまり、ハンガリーの議会が許可をしていないのに、EU委員会という、ハンガリー国民によって直接選ばれてないEUのお偉いさんが多数決で決めた内容を、ハンガリーに強制させていいと思いますか?という質問です。

ちなみにハンガリーの国会議事堂はかなり美しい

ちなみにハンガリーの国会議事堂はかなり美しい。-筆者が旅行時に撮影

「まだ分からん!」と言う方のために、背景を一回説明したいと思います。

昨年EU委員会が決めた、EU圏内、主にギリシャとイタリアにいる難民を、他のEU加盟国に再配置する、という決定に対し、ハンガリーやチェコ、スロヴァキア、スロヴェニア、ポーランドといった、いわゆるヴィシェグラード諸国が反対したことが発端にあります。

スロヴァキアとハンガリーはEU憲法裁判所に決定取り消しを求め訴え、ハンガリーではさらに、その是非を問う国民投票を開くこととなりました。

つまり、「ハンガリー政府は難民を受け入れたくないから、ハンガリー国民の皆さん、国民投票っていう民主主義の最終兵器で、EUの決定にノーを突きつけちゃってください!!」っていうハンガリー政府の狙いがあったんですね。

これは、難民問題から、EUの権限の是非を問う国民投票になったので、通称「難民国民投票」とも言われていました。

そして2日に行われたその国民投票ですが、結果は、投票率が43.9%で、国民投票自体が有効になる50%を下回ったので、結果は「無効」となりました。

ハンガリーのリベラル系の野党は、勝てないことは元々分かってたので、国民投票へのボイコットを呼びかけていたこともあり、野党にとってはこの結果は勝利と言えるでしょう。

逆に、この国民投票の質問自体が政権寄りにできてることや、投票前からテレビコマーシャルやポスターで、「難民受入に反対」に入れてくださいって頼んでいたハンガリー政府としてはさぞかし痛い敗北となったことでしょう。

いや、それがそうでもないんです。。。

ハンガリーのオルバン首相、全くしょげてません。

ハンガリーのオルバン首相。©Reuters

ハンガリーのオルバン首相。©Reuters

彼はこの、無効となった国民投票の結果を、「我々の圧倒的勝利だ」と表現したんです。何でだ???

実は、投票した43.9%の人々の内、なんと98%もの人がハンガリー政権が投票してほしかった、「EUの決定をハンガリーに強制させることに反対する」という方に入れてたんです。

オルバン首相はこれを盾にとり、EUが決定した1,294人の難民のハンガリー配置を認めない方針を続け、さらに憲法を改正して、EUの決定がハンガリー議会の決定なしにハンガリーに影響を与えられないようにする、と述べました。

この決定に対して、「これこそ民主主義のプロセスを無視したものだ」とハンガリーの野党政治家、EUの政治家や学者から多くの批判が噴出しています。

実際、半数以上のハンガリー国民はこの国民投票へ距離をとっていた、という事実は否定できません。

 

国民国家が力を持ち過ぎ、暴走した結果生じた第一次世界大戦と第二次世界大戦。

その教訓として生まれたEUは今日、新たな国民国家の荒波にもまれています。

この記事の最後に、ハンガリーのユダヤ人で、ナチスの強制収容所を生き延びた79歳のスザンナさんのインタビューが、その危機感をさらに強めるものとなっています。

In the 1930s, we were in a very bad economic situation. People had to be blamed, and then it was the Jews. And that’s what I’m reminded of when I read the Hungarian government’s propaganda. It’s very dangerous. Because it can contaminate all of Europe.(1930年代、私たちはひどい経済状況にありました。非難されなければならない人が存在しており、それはユダヤ人でした。そしてこの事が、現在のハンガリー政府のプロパガンダを見て思い出される事です。これはとても危険です。なぜならこの気運はヨーロッパじゅうを汚染する可能性があるからです。)

ハンガリーで先週行われた国民投票について、知っていただけましたでしょうか?

今日は以上です!来週もお楽しみに!


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