難民が密入国斡旋人に頼る理由とは- 難民ニュースまとめ vol.13 (8/29-9/3)

みなさんこんばんは~!

9月に入ったのに暑い日が続きますね。

1年ヨーロッパで過ごすと、日本の夏への耐性を完全に吸い取られてしまった気しかしませんメンバーのアンドレです。

最近はドイツの大学から出された期末レポートの提出に追われ、この記事もいつもギリギリになってます(ただの醜い言い訳です。ごめんなさい。)

 

難民ニュースまとめ

ではでは毎週恒例。先週あった難民ニュースをまとめていきたいと思います!

8/29 (月)

8/30 (火)

8/31 (水)

9/1 (木)

9/2 (金)

9/3 (土)

 

難民ニュース、ピックアップ記事

今週は、「1日に約6500人の難民が地中海上で救助される」といった、久しぶりに注目を浴びるニュースがありました。

それに関連して、その同じ「ボートの中から生後5日の双子の赤ちゃんが見つかる」といったショッキングな記事もついてきました。

今回はそんな中でも、水曜日に紹介した、「ヨーロッパが国境を閉じたことで、密入国斡旋人が大儲けしている」というガーディアン紙の記事を紹介したいと思います!

 

国境が閉じてても通れる!?

今年の3/9にスロヴエニア、セルビア、マケドニアといったバルカン諸国が、「入国ビザのない者の国の通過を認めない」という、事実上難民に対して国境を封鎖する措置をとって以来、EU諸国に来る難民はめっきり減りました。

しかしこのガーディアン紙の記事によれば、この3月に国境を閉じられてからも、約24,000人がいわゆる「バルカンルート(注)」を通ってヨーロッパにたどり着いているらしいのです!

(注)簡単におさらい!
「バルカンルート」とは「西バルカンルート」とも言われ、その名の通り西バルカン諸国を難民が通って、ドイツやスウェーデンに辿りつくルートの事です。通過する国は、トルコからボートでギリシャ、そこから陸路でマケドニアセルビアクロアチアハンガリーを通り、オーストリア、そして南部からドイツに入るルートです。

3月に締結されたいわゆる「EU-トルコ合意」。これにより、現在トルコから船を使いギリシャに上陸した難民は、ギリシャで難民申請を出さない限りトルコへ強制送還されることになっています。

そこで現在、ギリシャを避ける難民たちに使われるようになったのは、トルコから北へ、陸路で入ることができるブルガリアです。

難民たちは密入国斡旋人に大金を払い、今度は危険な国境超えを陸路で試みています。

スウェーデンにロシア経由で入った難民の話はこちらの記事を読んでみてください。この人の武勇伝、ほんと、ゾクゾクします。笑

ブルガリアは国境警備隊に加え、統制が取られていない右翼の自称「自警団」が国境地帯を「警備」しており、捕まればまずボコボコにされてからトルコに送り還されます。

ブルガリア-トルコ国境を警備する自称「自警団」の人々。 URL:goo.gl/6YUxgdcontent_copyCopy

ブルガリア-トルコ国境を警備する自称「自警団」の人々。 URL: http://goo.gl/bLOHQc

いや、待って。こんな人たち↑↑に絶対捕まりたくなんかないわ!!

この画像探してて、難民たちがこの人たちに殴られ蹴られする動画も見つけて、かなり吐き気を催しました。

このブルガリアのルート以外にも、すでにギリシャの難民キャンプにいる難民たちでも、さらに密入国斡旋人にお金を払い、ヨーロッパを目指す人たちもいます。

僕がギリシャのキャンプで知り合ったシリア難民は、偽装パスポートを4000ユーロ(約45万円)で斡旋人から購入し、ギリシャの首都、アテネからドイツまで飛行機で飛んできました(彼の詳しいエピソードもいずれ書こうと思います)。

ある密入国斡旋人のFacebook ページ

ある密入国斡旋人のFacebook ページ

それ以外の人たちは、これみたいな↑Facebookページで斡旋人を見つけて、ちまちま電話で連絡を取り、お金を払いヨーロッパを目指している人もいます。
ちなみに、この斡旋人のページの名前は「スウェーデンまでの旅行」です。ほんとナメてます。
アラビア語で「旅行(アラビア語:スフル)」って単語でFacebookのグループ検索をすると、斡旋人のページがかなり出てきます。

ただ連絡を取る場合も、〇〇の紹介、とか言わないと斡旋人も怖がって連絡を取ってくれないみたいです。どこの世界でもコネが大切なんですね。

ではなんで、ここまでして、斡旋人に大金を払って、難民たちは西ヨーロッパへと向かうのでしょうか?

 

難民たちが西ヨーロッパへと向かう理由

この理由、難民キャンプでたくさん聞きました。「子どもの将来のため」とか、「爆弾に怯えなくていい暮らしがしたいだけ」とか。

ただここで問題になるのは、ギリシャという、安全な国のキャンプにいるのになぜ?という点です。だって、安全な国でいいならギリシャでもいいじゃないですか。

これに対する2つの答えを提示して、今日は終わりたいと思います。

一つは、以前にも別の記事で紹介した「うわさ」に原因がある、というものです。

難民たちは、いつもほんとか定かではないうわさに翻弄されていると言っても過言ではありません。この記事で紹介されているものでは、「UNHCRの再配置計画に登録すれば、ベネズエラに飛ばされる」「ドイツに行けば何も払わなくてもよくなる」といった、根拠のないうわさ。冷静に考えれば嘘だとすぐに分かるのですが、

「もし」、「万が一」これが本当だったら??

この意識がいつも難民たちの意識を支配しています。もし本当だったら自分たちの人生を大きく左右してしまううわさなんです。だからとりあえず信じてしまう。

「明日、○○という芸能人がここにやってくるんだって!」レベルのうわさとは訳が違うんです。

二つ目は、手続きの遅さと限界に達する我慢、です。

このガーディアン紙の記事で、これからギリシャからマケドニアに密入国を試みるアフメドさんのインタビューが載っています。

I don’t want to wait here for a year to get just my first appointment [for an asylum interview], so that’s why I’m going to the smugglers. If they promised to move us by next March, no one would go with the smugglers. But we haven’t even got our first appointments. We’re Syrians, we’re used to working, we don’t like to sit and do nothing. (ここ(ギリシャの難民キャンプ)で最初の申請者インタビューのために1年も待つことができる訳ない。だから密入国を試みるんです。もし当局が次の3月までに全員キャンプから移動できると約束してくれたら誰も密入国斡旋人なんて頼らないでしょう。だけど最初の手続き日程も伝えられてない。私たちはシリア人だ。働くことが生きがいなんだ。ただ座って何もしないなんて耐える事が出来ない)

ここから、住環境の悪いギリシャの難民キャンプで先が見えない生活を送っているという事が、難民たちを密入国斡旋人に向かわせている理由になっている事が分かるでしょう。

彼が言うように、”もし”手続きがもっと簡単になり、速くなり、難民たちに仕事口を与えられて、ギリシャに将来を見いだせてあげられたなら(ギリシャは財政危機の影響でただでさえ失業率が高いので、ちょっと理想が強いかもしれませんが・・・)。

“もし”そのためにEUがもっと財政だけでなく人材の面でも支援を行ったら(難民申請のプロセスが遅れているのは、それを担当する人がそもそも足りていないからです)。

斡旋業者の仕事は立ちいかなくなり、難民たちも危険な旅に身を投じずに済むことになるでしょう。

現在EUは、斡旋業者の取り締まりにお金をたくさんかけていますが、もっと根本から解決する方法もあるのではないかなと、締め切り過ぎの月曜深夜に考えるアンドレでした。

ではまた来週!


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