こんにちは!
先日両親から送られてきた「東京は35℃あるけど、家のエアコンは壊れてるよ」というLINEを読んでから、日本が恋しい気持ちが1/10000になったユキです。
ベルリンは20℃を切る毎日が続いています。夜中は10℃くらいです。寒いです。
さて、今回はヨーロッパ以外の国、ブラジルの難民政策をご紹介します!
リオ・オリンピック、盛り上がっていますね~~
以前カナダの取組みも紹介しているので、気になる方はこちらからどうぞ。
かつては杉原千畝も発行。人道ビザって?

1940年、日本領事館でビザ発給を訴えるユダヤ人難民 URL:http://www.jacar.go.jp/modernjapan/p14.html
一言でいうと「人道的な理由から、入国・滞在を許可します」という書類。
観光のための観光ビザ、就労のための就労ビザ、そして人道的な理由の人道ビザ。
かつて日本の外交官、杉原千畝が第二次世界大戦中にユダヤ人難民に発行した「通過ビザ」も人道ビザにあたります。
日本人が難民に人道ビザを出したことがあるなんて、驚きですよね!
なぜ人道ビザが必要なの?
僕たち日本人はヨーロッパ各国はもちろんのこと、ほとんどの国に遊びに行くのにわざわざビザの申請をする必要はありません。
留学生や駐在員など、長期滞在をする人はビザの申請が必要ですが、短期滞在であればパスポートさえ持っていれば入国ゲートをくぐることが出来ます。楽ったらありゃしない。
でも、難民たちはそうはいきません。
パスポートの自由度ランキングのVisa Restriction Index 2016によると、ドイツは1位、日本は5位。
それに対し、難民出身国トップ3であるシリア、アフガニスタン、ソマリアは全て100位以下。
現在のEUの法律では、難民申請はEU国内でしかできないようになっています。
しかし、ランキングからも分かるように、難民たちが他国に合法的に逃げ込むには、ほとんどの場合ビザを取得する必要があるのです。
しかし内戦で政府が機能不全を起こしていたり、迫害や命の危険が迫っている場合など、悠長にビザの申請をしている余裕なんてありません。
つまりほとんどの場合、難民になるためには不法入国をしなければならない、ということになります。
このことを見越して1951年の難民条約では、次のように規定しています。
第31条:庇護申請国へ不法入国しまた不法にいることを理由として、難民を罰してはいけない。
第33条:難民を彼らの生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放したり、帰還させてはいけない。(ノン・ルフールマン原則)
つまり、難民なら不法入国はオッケー!強制送還もしないよ!ということ。
とはいっても、不法入国のためには、合法的な手段よりもはるかに危険で、高価な密航業者を頼るしかありません。
そしてその過程で多くの命が失われ、犯罪組織が大きな利益を上げています。
もっと詳しく知りたい方はこちら↓
『「難民たちは溺死させておこう。」—EUの政策が招いた悲劇』
五輪の難民チームだけじゃない!ブラジルの難民政策
この問題に対して、
「じゃあ難民にビザを発行して、合法的に来れるようにすればいいじゃん」
と考えたのがブラジルでした。
ブラジルに難民が辿り着くプロセスを簡単に説明すると、
- シリア難民がシリアの周辺国のブラジル大使館・領事館で人道ビザ申請
- ビザ取得→合法にブラジルへ入国できるようになる
- 自費でブラジルに移動し難民申請、難民に
という手順です。
難民がやむを得ず不法入国することも、
その過程で多くの人が溺死することも、
犯罪組織が多額の利益を得ることも、
ありません。
2013年9月に、シリア難民への人道ビザ発行法案(Normative Resolution No 17)がブラジル議会を通過し、この政策が実行に移されました。
地理的な距離に関わらず、その後2015年10月までに、8000を越える人々がこのビザを取得しました。
さらに、この政策は2015年の9月に2年間期限が延長されることが決定しました。
加えて、UNHCRとブラジル政府は合意を結び、ビザ認証のプロセスをより早く、効率的なものにすること、対象をシリア難民だけでなく、他のシリア内戦によって影響を受けた人々まで含めることに同意しました。
EUとの比較
EUは密航業者との闘いを掲げ、国境警備に多くの予算を割き、その上難民の状況を悪化させ、多くの批判を浴びています。
今年3月にはEUトルコ間で、不法にギリシャに入国した難民を送り返す合意が締結されました。
今年に入ってからの地中海での死者・行方不明者は3,151名で、8月前半の時点ですでに昨年の3,771人に迫る勢いです。
もっと詳しく知りたい方はこちら↓
『今年は「難民危機最悪の年」となる可能性が… ‐上半期における衝撃の報告』
一方、この人道ビザというアイデアを活用したブラジルの政策は、難民に安全安価な合法手段を与えるだけでなく、密航業者の需要を低下させることによって、本当の意味での「密航業者との闘い」になっています。
そのため、この人道ビザをヨーロッパの難民政策にも取り入れるべきだ、と主張する研究者も多くいます。
まとめ
リオ・オリンピックで盛り上がりを見せるブラジル。
史上初めて難民チームが参加し、難民の選手たちが活躍する大会を運営するその国は、親難民政策国家という顔も持っていました。
勿論ブラジルにも難民受け入れ後の課題は多くあります。
しかし、国の規模からして、シリアから遠く離れている国でも、彼らを受け入れる努力をすることは、国際貢献として求められていることではないでしょうか。
このブラジルの例はカナダと並び、ヨーロッパから遠く離れた国でも、難民問題解決に大きく貢献できる可能性を示していると言えます。
このことを日本の難民政策と比較することでも、何か発見があるかもしれません。
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