難民に関する最新データ発表! – 2015年の「難民問題」が4つのチャートで丸わかり。

こんにちは!一昨日6/20は、「世界難民の日」でしたね。ここベルリンではその前日の日曜日に、「手と手を取り合い、差別に反対を」をモットーにした「人間の鎖」が作られました。

ドイツ全土、主要16都市で約4万人が参加したそうです。

数字で分かる難民問題

そして「世界難民の日」にあたり、UNHCR(国連高等難民弁務官事務所)が昨年2015年の「難民問題」に関するレポートを発表しました。

Global Trendsというこのレポートの、紹介ページでは

“At sea, a frightening number of refugees and migrants are dying each year. On land, people fleeing war are finding their way blocked by closed borders.”(海においては、ぞっとするような数の難民が毎年溺れ死んでいます。陸においては、戦争を逃げのびた人々が、閉じられた国境により道が塞がれた光景を目の当たりにしています。)

というFilippo Grandi高等弁務官の言葉で始まっています。彼はさらに「政治が彼らの難民申請の妨げにもなっている」と、難民を政治利用しようとする勢力を批判しました。

 

レポートの中身をざっくりチャートで解説

ではここからは、この68ページにも及ぶ”Global Trends”の中身をざっくり4つのチャートを使いながら解説していきたいと思います。

解説は主に3つに分け、
1. 基本的なデータ
2. 難民の主な出身国と、彼らの受入国に関連するデータ
3. 「欧州難民危機」に関連するデータ
を紹介していきたいと思います!

なお、以下からは「難民」という言葉は国外に強制移住を強いられている人のことを指し、国内避難民や亡命申請者を含める場合は総じて、「強制移住を強いられている人」という表現をとります。

 

基本的なデータ

まずは、基本的な数字から見ていきたいと思います。以下のチャートをご覧ください。

global_trends_chart1

2015年は、国外に避難しているいわゆる「難民」と言われる人の数は2130万人。国内で避難している人の数が4080万人。さらに亡命を申請している人の数は320万人でした。

これらの数字を合わせると、2015年全世界で強制移住を強いられている人の数は6530万人にも上ることが分かりました。これは昨年の統計(5950万人)よりさらに580万人多く、UNHCRが統計を取り始めて以来最多であり、日本の人口の約半分強の人数に匹敵します。想像してみてください、もし日本に住む2人に1人が自分の家に住むことが叶わなくなったなら。

1日あたり34,000人が自分の家を失っていることとなり、1分間では24人もの人が強制移住を強いられました。

さらにこれを全世界の人口と比べると、実に167人に1人が現在も強制移住を強いられているということになります。
以下からは、国外に避難をしている「難民」に話を絞って見ていきたいと思います。

 

難民の主な出身国と受入国

次は具体的に、どこの国から難民は来ており、どこの国が多くを受け入れているのかを見ていきたいと思います。

難民の出身国

最初に、難民たちがどのような国から逃げてきているかを見ていきます。以下のグラフの国々が主要5ヵ国です。

global_trend_chart3

上のグラフから読み取ると、難民の出身国で最も多い3ヵ国は、
1. シリア (490万人)
2. アフガニスタン (270万人)
3. ソマリア (110万人)
となり、この3ヵ国だけで世界全体の難民の54%を占めています。

シリアの難民の数は、昨年の390万人からさらに100万人増えたことになります。

難民の受入国

それでは、これら難民たちは、どのような国に身を寄せているのでしょうか?

global_trend_chart4

現在、トルコが250万人の難民を受け入れており、ダントツ世界1位となっています。しかしこれは、トルコ政府の推計をもとにしているため、正確な数字は分かっていません。その次は、長い人はすでに30年以上も難民生活を送るアフガン難民を多数受け入れているパキスタンが160万人で2位。110万人でレバノンと続いています。

レバノンに関しては、全人口に占める難民の割合が約20%で、1000人あたり183人が難民という事になります。イラク戦争の難民や、パレスチナ難民も多く暮らすヨルダンでも、1000人あたり87人が難民という高い割合を示しています。

昨年は「難民危機」という言葉が出たほど、欧州に難民がたくさん流れ込んだという印象がありましたが、ヨーロッパの国で受入国ベスト10に入っている国は1つもありません。(ドイツは昨年110万人の難民を受け入れましたが、実際は申請過程の人がその内の半数以上で、難民として認定された人は44万人にとどまり、そのためにランキング外です)
それもそのはず、難民たちが暮らしているのは周辺の発展途上国が多く、その割合は実に全世界の難民の86%にも及びます。

 

「欧州難民危機」のデータ

昨年「難民問題」に揺れ、「欧州難民危機」という言葉までが言われた昨年。今年の報告書では、ヨーロッパに渡った難民や、ヨーロッパ諸国の対応なども書かれています。その中で一つ抜粋をして、解説を加えたいと思います。

global_trends_chart4

こちらの地図では、2015年に地中海を横断し、欧州を目指した難民の数とその内訳を紹介しています。

2015年は合計、101万5000人が地中海を船で渡り、ヨーロッパへ辿り着きました。月別では、10月に22万人が到着し、その年最多を記録しています。

また同時に、3,771人もの人々が船の転覆などを通じて亡くなった、または現在も行方不明となっています。

 

まとめ

今回は、難民に関連するたくさんの数字を紹介させていただきました。ここまで読んでいただきありがとうございました!
上にあげた数字以外でも、難民に関連したショッキングな数字はまだたくさんあります。難民全体で18歳以下の未成年が51%も占めるというのも、僕には信じられませんでした。

これらのデータは、漠然と議論される難民問題に対し、正しい基準を与えてくれるという点では大きな役割を果たします。しかし、こんなに数字をあげておいて説得力がないかもしれませんが、これだけは読者のみなさんに分かっていただきたいです。難民たちは数字ではありません。

みんな一人一人に顔があり、名前があり、家族があり、過去があり、そしてまた未来もあります。
僕が難民キャンプで彼らと合計約1ヵ月半過ごし、これが一番身に染みて”分かった”ことです。みんな私たちと変わらない、家族との夕食でご飯をこぼして怒られる子どもがいて、サッカーの試合を見て一喜一憂し、歌が大好きな人もいて、こっそりデートをする人もいる。同じ人なんです。「難民」という「カテゴリー」だけで囲っていい人たちではありません。

Protest 1

国境の開放を求めるクルド人青年。イドメニ難民キャンプにて

日本のネット上で、「難民は犯罪者」、「日本の税金をむさぼりに来る汚物」や「150人も受け入れたら日本オワル」といった言葉をたまに見ますが、同じ国に住んでいて、同じ血が通っている人として、なぜこんなひどいことを平気で書けるのかといつも悲しくなります。

そんな難民たちの「本当の顔」を知らない人たちにも、彼らのことを知ってもらうため、「和の手を世界に」では難民たちのリアルな姿を引き続き紹介していきたいと思っています。

それでは次回もお楽しみに!

(アイキャッチ画像は、UNHCR Global Trends 2015の表紙画像を使用しています。)


UNHCRでは現在、#WithRefugeesという、難民たちへの連帯を示す署名活動を行っています。こちらのリンクからサイトへ行けますので、お時間のある方ぜひご協力をお願いします!

また、先日の記事でもお知らせしましたように、現在表参道で日本に住む難民をテーマに写真展が開かれています。お時間のある方、こちらもぜひ足を運んでみてください!

 

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