アテネから1時間半ほどのカルキダという町の郊外に位置するRitsona難民キャンプには、シリア人やクルド人の家族連れを中心に900人ほどが生活していました(2016年5月10日時点)。最低限の衣食住は満たされているものの、難民の住居は頻繁に雨漏りする電気のない簡易テント、配給の食事は「チキンナゲットと米」など栄養がなく単調、シャワーは冷水、市街地まで車で30分かかるど田舎の立地・・・といったことから、祖国で都会生活を送っていた難民たちとっては大変な苦痛を伴うものです。Ritsonaへは3月から難民の収容が始まりましたが、彼らはこのキャンプは国境が再び開くまでの一時的な住居であると信じて僅かな希望を胸に生活しています。しかし、ニュースで耳にする一向に改善しないEUの難民政策や、長引く単調なキャンプ生活に難民たちは不安の色を見せています。ハンガーストライキ等の静かな抗議活動が起きたり、10代の若者からは「シリアに帰ればすぐ死ぬけど、ここにいてもゆっくり死ぬだけだ。それなら家族が友人がいるシリアに帰りたい。」という声すら聞こえてきました。