今話題の難民映画”海は燃えている”を観てきた。 ~第66回ベルリン国際映画祭 金熊賞受賞作

どうも~。最近はヨーロッパ滞在最後の数日を使った旅行や、この記事執筆に勤しんでおります。メンバーのアンドレです!

10ページのレポートがまだあるのですが、よくある夏休みの宿題は最後の数日に頑張る派として、しっかり夏休みを楽しみたいと思います。笑

この記事は日本での公開を控えた2016年8月にドイツで映画を見たメンバーが執筆し公開した記事です。日本での公開に当たり、邦題や上映に関する詳細などをアップデートしています。

話題の難民映画、”海は燃えている”を観てきた

みなさんは、”海は燃えている”という映画をご存知ですか?

"Fuocoammare""Seefeuer"。

映画館にあった”海は燃えている”のポスター。ドイツ語では”Seefeuer”。

”海は燃えている(原題:Fuocoammare)”というこのイタリア映画は、イタリア出身のジャンフランコ・ロージ監督が、自らイタリアのランペドゥーザ島に1年間住み、そこでの人々の日常と、その裏で繰り広げられる、イタリアを船で目指す難民たちの生と死の闘いを描いた作品です。

世界最大の映画祭である、ベルリン国際映画祭で2016年に堂々の金熊賞(最優秀賞)を獲得しています。

予告映像はこちら↓

ランペドゥーザ島は実は、「船が浮くほどすき通った水」で有名なイタリアの観光地です。名前を知らなくてもこの写真を見た事あるという方は多いのではないでしょうか?

あまりの透明度から、「船が浮いているように見える」と言われる、ランペドゥーザ島の海

あまりの透明度から、「船が浮いているように見える」と言われる、ランペドゥーザ島の海 URL:http://goo.gl/BV4jDp

しかしその表の顔とは別に、ここ20年で40万人もの地中海上で救助された難民が運ばれる島でもあります。

今回は、7/28に公開されたばかりのドイツで一足先に”海は燃えている”を観てきたメンバーのアンドレとユキが、この映画の紹介をしたいと思います!

 

ここからは若干のネタバレも含みますので、内容を先に知りたくないけど、日本の公開情報が知りたいという方は、一番下の「”Fuocoammare”を日本で観るには?」のみお読みください。

 

映画のあらすじ、特徴

この映画「海は燃えている」では、このランペドゥーザ島の裏の顔にフォーカスを当て、この島で暮らすサミュエル君と漁師である彼の家族の日常、そして救助作戦に従事する沿岸警備隊の様子とそれに救助された難民たちの恐怖と希望を対比する形で描かれたドキュメンタリー映画です。

解説などの音声は一切なく、脚色もなく、全てそこに存在する人々だけがこの映画を作っています。

映画は、ランペドゥーザ島の住人、12歳のサミュエル君が、パチンコに使う枝を切っているシーンから始まります。

空はどんよりとして薄暗く、観光地としての島はそこには存在していません。

すると突然シーンが変わります。

船の上、沿岸警備隊の隊員がイタリア訛りの英語でトランシーバーを通して話しています。スピーカーからは恐怖に慄き、「早く助けてくれ、船が沈む」と泣きながら訴える男性の声が聞こえてきます。

すると、今度は朝になり、サミュエル君のおばあちゃんがラジオを聞いているシーンへと移ります。

このようにこの映画は、サミュエル君とその家族ら、一般の島民の生活のシーンと、イタリアの沿岸警備隊に救助される(された)難民たちのシーンが交互に出されるように構成されています。

友だちとパチンコを作り、鳥を打ち落とそうとするサミュエル君。

今にも沈没しそうな古い漁船から救助される難民たち。

左目の視力回復のための矯正器具をつけられるサミュエル君。

救助され、身体検査を受け、収容施設でペットボトルで作られた即席のコートでサッカーをする難民たち。

学校の宿題をサボり、先生に嫌味を言われるサミュエル君。

救助活動に従事する島の医師のインタビュー。「船底で見つける難民たちの死体に慣れる事はありません。」

お父さんの漁船に乗せてもらうも、船酔いで動けなくなるサミュエル君。

海を漂っていた難民船が救助されるシーン。ぐったりとした難民たちが救助艇に物のように引きずりあげられる。

その日獲れたイカをおばあちゃんがパスタにし、みんなで夕食を食べる。

ナイジェリアからの難民が救助された船の中で、自分たちの辿って来た苦難の道を語る。

漁師になるため船酔いを克服すべく、小さなボートで鍛えるサミュエル君。

船の中で死んだ家族を嘆き、悼み、祈る難民たち。遺体を前にした救助隊員たちを包む不気味な静寂。

日常と地獄、この相反する二つの出来事が同時に起こっている島、それがこの映画で描かれるランペドゥーザ島です。

 

日常と地獄が交差する、難民問題最前線の島

この映画の最大の特徴と言えるのが、ランペドゥーザ島の住人と、救助されら難民たちが一度も同時に出てくるシーンがないことです。

これは事実を物語っている面もあり、僕はあえて出さないようにした監督の意図でもあるのかなと思います。

というのも、以前は島を難民が動き回る様子も見られたそうなのですが、現在は救助された後、すぐに島の登録所にバスで運ばれ、そこから数日の内にイタリア本土に船で移動するため、住民とのコンタクトは全くと言ってもいいほどないそうです。

実際に島の住民と難民が交わったシーンと言えば、サミュエル君のおばあちゃんが、難民がOO人亡くなったというラジオを聞いて、「かわいそうに」と呟く箇所。

そしてもう一つ、この映画のタイトルにもなっている“Fuocoammare(海は燃えている)”という言葉だけです。

この”Fuocoammare”という言葉が出てくるのは、おばあちゃんが、サミュエル君に戦時中の話をしていた時です。

おばあちゃんは、漁に出るおじいちゃんに、毎朝パンを届けるため港に通っていました。

そして夜、海岸から帰りを待っていると、海の向こうに、戦闘機からの攻撃を受けた戦艦が真っ赤な炎をあげている様子をが見えたそうです。おばあちゃんはその光景を、海が炎をあげている、”Fuocoammare”のようだった、と語っています。

僕はこのシーンを見て、監督がこの言葉をそのままこの映画のタイトルに選んだ理由、そしてこの映画が本当に伝えたかったことが分かった気がしました。

70年前の戦時中、戦艦が燃え上がる中、生き延びようと最後の命を必死に燃やしているイタリア人の姿がある一方、今日、船で地獄のような航路を渡ってくる難民たちも、その中で必死に生きようと命を燃やしている。

島民と難民という、二つの交わらない人生が交わる瞬間を、この”Fuocoammare”という言葉が紡ぎ出しているのです。

そして、命を懸命に燃やす人々に、難民も島民もなく、そこにあるのは同じ「人」でしかない。

この映画の伝えようとしていることは、まさにこのことなのではないでしょうか。

 

“海は燃えている”を日本で観るには?

日本での公開タイトルはどうなるんでしょうかね~。

直訳で『海の炎』でしょうか。ドイツも直訳でしたし。

はい、「海は燃えている」という素敵なタイトルがつきましたね。よかった。

某作品のように、へんてこな日本語タイトルがつかないことを祈ります。

日本でこの映画を見れるのは以下の日程です。

  • 2016年10月9日 『UNHCR 難民映画祭2016』にて上映 @東京イタリア文化会館
  • 2017年2月11日 Bunkamura ル・シネマにて公開予定

公開日は結構先ですね…でもご安心ください!10月に難民映画祭で見れちゃいます。しかもどうやら無料の様子。

抽選で、お申し込みはこちらから。応募締切は9月21日なので、お早めに。(終了しました)

(難民映画祭の公式ページはこちら。他にも沢山、面白そうな難民映画があるので、どしどし応募してみて下さい!)

もし、映画祭を逃しても、来年の2月から(2月11日から公開されています!)渋谷のBunkamuraで公開予定なので、買い物ついでにぜひ足を運んでみて下さい。

映画の公式サイトはこちら

演技ではなく、生の難民たちの姿を捉えたドキュメンタリーなので、本当に強く感じるものがあるはずです。

ちなみに日本国外ではドイツ、イギリス、イタリア、香港で既に公開されている模様です。

海外滞在の方も、見るチャンスはあるかもしれません。

ドイツにて。Fuocoamareのパンフレット。

ドイツにて。”海は燃えている”のパンフレット。

 


「和の手を世界に」では、Twitterアカウントにて、毎日難民関連のニュースをシェアしています。

さらにInstagramアカウントでは、メンバーが難民キャンプにて撮影した写真を投稿していますので、両方ともぜひフォローをお願いします!

Facebook ページへの「いいね!」もお願いします!

Twitter: http://twitter.com/#!/wanotewosekaini
Instagram: https://www.instagram.com/japan4refugees/
Facebook: https://www.facebook.com/wanotewosekaini/

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です